9. 騙されたらどうなる?詐欺罪の量刑と刑務所の実態を知る

「闇バイト」の先に待つ、重い犯罪の現実
近年、「高額報酬」「未経験歓迎」といった甘い言葉で募集される「闇バイト」を通じて、多くの若者が特殊詐欺の実行犯(受け子・出し子)として犯罪に加担しています。彼らの多くは、「自分は単なるアルバイトだから大丈夫」「末端だから大した罪にはならない」と軽く考えています。

しかし、詐欺は被害者の人生を狂わせる極めて悪質な犯罪です。この章では、詐欺に手を染めた加害者が直面する日本の刑法の厳しさと、懲役刑の現実を解説します。これは、犯罪への加担を思いとどまらせる、何よりも強い抑止力となるはずです。

1. 詐欺行為に適用される刑罰の重さ
特殊詐欺の実行犯であっても、彼らの行為は以下の刑法で厳しく裁かれます。罰金刑で済むことはまずありません。

(1) 詐欺罪(刑法第246条)
法定刑: 10年以下の懲役
適用される行為:
被害者を騙して現金やキャッシュカードをだまし取る行為全般。
偽の投資話で金銭を振り込ませる行為。
特徴: 詐欺罪には罰金刑の定めがありません。有罪となれば、原則として刑務所に収監される懲役刑となります。

(2) 窃盗罪(刑法第235条)
法定刑: 10年以下の懲役または50万円以下の罰金
適用される行為:
「受け子」が被害者の自宅で、隙を見てキャッシュカードなどを盗み取る行為。
暗証番号を聞き出し、ATMで現金を引き出す行為は「窃盗罪」や「電子計算機使用詐欺罪」が適用されます。

(3) 組織的犯罪処罰法による加重
特殊詐欺は、犯罪組織による計画的な犯行です。グループで犯行を行った場合、通常の刑法に加え、**「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」**が適用され、刑がさらに重くなります。

2. 司法の現実:実行犯でも長期の懲役刑
「言われた通りにやっただけ」「知らなかった」という言い訳は、司法の場ではほとんど通用しません。

実刑判決が基本
特殊詐欺事件においては、被害者の財産的損害が大きいこと、組織的な犯行であることの悪質性から、裁判所は非常に厳しい判決を下す傾向にあります。
「受け子」や「出し子」として逮捕された場合、たとえ初犯の若者であっても、実刑(執行猶予がつかない懲役刑)となるケースが非常に多いです。
被害額が数百万円を超える場合や、犯行回数が多い場合は、数年間(例:2年~5年)の懲役刑が科されることが一般的です。

詐欺グループの指示役は、自らはリスクを負わず、末端の実行犯に罪をすべて負わせる構造になっています。実行犯は、「たった一度のバイト」のつもりでも、長い期間、自由を奪われるという重い代償を支払うことになるのです。

賠償責任も残る
刑務所に入ったとしても、犯罪で奪った金銭に対する被害者への賠償責任は残ります。被害者から民事訴訟を起こされれば、出所後も長期にわたり、借金を抱えて生活することになります。

3. 懲役刑がもたらす「人生の代償」
懲役刑は、自由を奪われるだけでなく、その後の人生にも多大な影響を与えます。
キャリアの中断・喪失: 逮捕された時点で、それまでの仕事や学校生活は中断されます。懲役を終えて出所しても、「犯罪歴」があることで、再就職は極めて困難になります。

家族・人間関係の崩壊: 家族は、社会的な信用を失い、精神的な苦痛を強いられます。親族関係の断絶につながることも珍しくありません。
社会的な孤立: 詐欺は「人を騙した」という罪であり、出所後も周囲からの厳しい目が向けられやすく、社会復帰が難しくなる傾向があります。

最後に:犯罪は「割に合わない」
詐欺師に加担することで得られる報酬は、一時的なものに過ぎません。しかし、その代償として支払うのは、「最長10年という懲役刑」、「消えない犯罪歴」、そして「崩壊した人生」です。
「闇バイト」は、あなたの人生を破滅させるハイリスク・ローリターンの犯罪です。もし、今、怪しい勧誘を受けているならば、絶対に手を染めることなく、すぐに警察や信頼できる人に相談してください。

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