7. 【実録】詐欺被害からの回復体験談:立ち直るためのサポート窓口と心のケア

被害は「財産」だけではない:心の傷からの回復が大切
詐欺被害に遭うということは、大切なお金を失うことだけではありません。騙されたことによる自己嫌悪、羞恥心、そして将来への不安といった、深刻な心の傷を負うことになります。特に高齢者は、家族に心配をかけたくないという思いから被害を隠し、孤立してしまうケースも少なくありません。

しかし、詐欺は巧妙な犯罪であり、被害に遭ったあなたが悪いわけでは断じてありません。この章では、被害から立ち直るための具体的なステップと、心のケアのために利用できるサポート窓口について解説します。

【実録】Aさん(70代女性)の体験と回復への道筋
以下は、実際に還付金詐欺で数百万円を失いかけたAさん(仮名)が、どのように立ち直ったかの体験を基にした再構成です。

(1) 被害発生:「まさか自分が」という強いショック
Aさんのケースは、区役所の職員を名乗る者からの電話でした。「医療費の還付金がある。今日中に手続きをしないと権利が失効する」と急かされ、「親切な職員が手続きを手伝ってくれる」という思いから、言われるがままにATMへ向かいました。

詐欺だと気付いたのは、銀行から「高額の振り込みはできません」と止められたときでした。あと一歩で被害を免れましたが、Aさんは「なぜ、あの時すぐに電話を切らなかったのか」と強い後悔と自己嫌悪に陥りました。

(2) 隠したい気持ちとの闘い
最初の数日間、Aさんは娘にこの出来事を隠そうとしました。「しっかりしていると思っていたのに、騙されるなんて恥ずかしい」「娘に叱られる」という思いが強かったからです。この「隠したい」という心理こそが、詐欺被害者が最も陥りやすい孤立の罠です。

(3) 勇気を出して相談、そして前進へ
不安に耐えられなくなったAさんは、意を決して娘に相談しました。娘はAさんを責めることなく、「詐欺師が悪いんだから、気にしなくていいよ」と励ましました。

この「誰かに話す」という行為が、回復の第一歩でした。

その後、娘が消費者ホットライン(188)に連絡。担当者から、詐欺の手口はプロによるものであり、騙されてしまうのは当然だと説明を受け、Aさんはようやく「自分は悪くない」と思えるようになりました。

教訓: 恥ずかしさから隠さず、すぐに信頼できる家族や専門機関に話すことが、最も早い回復への道です。

被害発生後の心のケアと具体的なサポート窓口
被害から立ち直るためには、「金銭的な回復」と「精神的な回復」の両方が必要です。

ステップ1:被害拡大の阻止と事実確認(緊急対応)
すぐに警察へ連絡(#9110): 被害を届け出ることが、犯人逮捕や今後の手続きの第一歩です。

銀行・カード会社に連絡: 振り込みやカードの不正利用が確認された場合、すぐに口座凍結やカードの利用停止を依頼します。

ステップ2:金銭的な回復のための手続き
「振り込め詐欺救済法」の活用: 振り込み詐欺などで犯人の口座に送金してしまった場合、この法律に基づき、犯人の口座に残ったお金を被害者に分配する手続き(被害回復分配金支払申請)が可能です。この手続きは警察の捜査と並行して行われます。

弁護士への相談: 複雑な金銭の取り戻しや、犯人への損害賠償請求などを検討する場合、法的な専門知識を持つ弁護士に相談します。

ステップ3:心のケアと社会的なサポート
消費者ホットライン(188): どこに相談していいかわからない」という場合、まずはここに電話をかけましょう。消費生活相談員が、状況に応じて警察や専門機関へつなげてくれます。

地域の福祉サービス: 地域包括支援センターや民生委員など、地域の福祉サービスに相談することで、日常生活の不安や孤立を防ぐためのサポートを受けられます。

家族・友人との対話: 自己肯定感を取り戻すために、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらうことが大切です。「あなたの価値はお金ではない」というメッセージを常に受け取るようにしてください。

あなたは一人ではない
詐欺被害から立ち直るのには時間がかかるかもしれません。しかし、被害はあなたの責任ではなく、巧妙な犯罪組織の責任です。勇気を持って一歩踏み出し、頼れるサポート窓口を活用してください。決して自分を責めず、前を向いて歩き出すことが、真の回復となります。

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