5. 「キャッシュカードを預かります」は100%嘘!受け子・出し子詐欺の犯罪構造

警察官や銀行員がカードを預かることは絶対にない
特殊詐欺の被害が確定する最後の段階で必ず登場するのが、現金やキャッシュカードを直接取りに来る「受け子(うけこ)」や、盗んだカードでATMから現金を引き出す「出し子(だしこ)」と呼ばれる実行犯です。

詐欺師は、警察官、銀行協会職員、弁護士など、権威ある人物を装うことで、あなたの警戒心を解こうとします。しかし、この手口の根幹にある明確な真実を理解すれば、被害を免れることができます。

受け子・出し子が登場する3つの典型的な手口
実行犯が自宅に現れる、あるいは被害者をATMに誘導する手口は、主に以下の3パターンです。

(1) オレオレ詐欺の最終局面(受け子)
手口: 息子や孫を装った電話の後、「仕事の取引先や上司の者が代わりに現金を受け取りに行く」「交通事故の示談金なので、弁護士の秘書が取りに行く」などと伝えられます。

狙い: 現金を手渡しで受け取ります。これが「受け子」の役割です。被害者は、親切心や、家族の窮地を助けたいという気持ちを悪用されます。

(2) キャッシュカード預かり詐欺(受け子・出し子)
手口: 警察官や銀行協会職員を名乗る者から電話があり、「あなたの口座が犯罪に利用されている」「キャッシュカードを交換する必要がある」「不正利用を防ぐために一時的にカードを預かる」などと言われます。その後、制服やスーツ姿の人物が自宅を訪問し、カードと暗証番号を聞き出します。

狙い: カードをだまし取った後、すぐに「出し子」がATMに向かい、現金を引き出します。公的機関の人間が、あなたのキャッシュカードを回収しに来ることは絶対にありません。これは100%詐欺です。

(3) 巧妙なすり替え手口(すり替え型受け子)
手口: 上記(2)の訪問時に、被害者にカードを封筒に入れさせ、その隙に偽のカードが入った別の封筒とすり替えます。被害者はカードを渡したつもりになっていないため、だまし取られたことに気付くのが遅れます。

なぜ、公的機関はカードを回収しないのか?
「セキュリティのため」と聞くと、つい信じてしまいがちですが、警察や銀行がカードを回収しに来ないのには明確な理由があります。

手続きの原則: 銀行や警察が、個人の財産を保護するために、手続きを対面で行うことはあっても、第三者を通じてキャッシュカード自体を預かる、または回収するという正規の手続きは存在しません。

情報保護の義務: 暗証番号は、いかなる理由があっても他人に教えてはいけない極めて重要な情報です。銀行員や警察官が、電話や対面で暗証番号を聞き出すことは、情報保護の観点からあり得ません。

犯罪の証拠: 警察が犯罪の証拠物件としてカードを押収する場合、必ず裁判所が発行した令状を提示します。電話で指示されただけで押収することは絶対にありません。

【鉄則】
「警察官や銀行員がキャッシュカードを預かりに来ることは、日本の制度上、絶対にない」という事実を、常に念頭に置いてください。

受け子・出し子の未来:犯罪に手を染めることの重い代償
「受け子」や「出し子」は、詐欺グループの末端にいる、多くは若者です。彼らは「割りの良いアルバイト」や「闇バイト」として勧誘され、深く考えず犯罪に手を染めてしまいますが、その代償は極めて重いです。

詐欺罪・窃盗罪の厳しい量刑
実行犯であっても、彼らの行為は刑法によって厳しく裁かれます。
詐欺罪(刑法第246条): 10年以下の懲役
窃盗罪(刑法第235条): 10年以下の懲役または50万円以下の罰金

実刑判決の現実
特殊詐欺事件では、たとえ「言われた通りにやっただけ」という立場であっても、罰金刑ではなく懲役刑(実刑判決)となるケースが非常に多いのが現状です。これは、組織的な犯罪行為として社会に与える被害が甚大であると判断されるためです。

たとえ初犯であっても、数年間の懲役刑が科されることは珍しくありません。

被害額が高額であればあるほど、量刑は重くなります。

犯罪組織は、末端の実行犯を使い捨ての駒としか考えていません。「闇バイト」は、一瞬であなたの人生を奪う犯罪行為であることを知っておいてください。

最後に:不審な訪問者が来たら
不審な人物が自宅を訪れたり、電話でキャッシュカードに関する話が出たりしたら、すぐにその場を離れ、インターホン越しでも対応せず、以下の窓口に連絡してください。

警察相談専用電話:#9110
緊急の場合は110番

「カードを預かる」という言葉は、あなたから財産を奪うための呪文です。絶対に信用してはいけません。

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