1.フランチャイズ(FC)の魅力と潜むリスク
独立開業を志す人にとって、フランチャイズ(FC)契約は魅力的な選択肢です。ゼロから始めるよりも、確立されたブランド、成功実績のあるビジネスモデル、本部からの研修やサポートといったメリットがあるためです。
しかし、この「確立されたノウハウ」という信頼性を悪用し、多額の初期費用(加盟金)や不当なロイヤリティ(経営指導料)を騙し取るフランチャイズ詐欺も存在します。特に飲食業、リペア業、ハウスクリーニング業など、専門知識が初期に必要とされる分野でトラブルが多発しています。
本記事では、健全なFCと詐欺的なFCを見分けるための着眼点と、契約前に確認すべき重要なチェックポイントを解説します。
2.詐欺的なFCが仕掛ける3つの罠
詐欺的なFC本部は、契約段階で虚偽の情報を提供し、契約後に事業者を縛り付けて搾取する構造を作ります。
罠1:架空の成功事例と虚偽の売上予測
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手口:
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実際には存在しない「成功モデル店舗」の売上データや、都合の良い統計データだけを提示し、高すぎる利益を保証するかのように見せかけます。
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「本部が顧客を斡旋する」などと謳い、加盟者が自力で集客する必要がないと思わせます。
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狙い: 加盟希望者に「契約さえすれば確実に儲かる」と信じ込ませ、高額な加盟金を一括で支払わせること。
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実態: 提示されたデータは虚偽であり、契約後に蓋を開けてみれば、顧客斡旋もなく、競争の激しい市場で自力集客を強いられ、赤字経営に陥ります。
罠2:初期費用の不透明性とロイヤリティの搾取構造
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手口:
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加盟金(ブランド使用料)が高額であるにもかかわらず、その内訳や使途が明確に説明されない。
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ロイヤリティ(本部への支払い)が、売上にかかわらず一律で高額であるか、または「資材費」「システム使用料」など、別名目でさらに高額な費用を徴収する仕組みになっている。
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狙い: 初期費用で利益を確定させ、さらに毎月のロイヤリティや資材の強制購入を通じて、加盟者を長期的に搾取する仕組みを作ること。
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実態: 本部指定の資材が市価よりも著しく高かったり、ロイヤリティが高すぎて利益が出なかったりする「チャージバック」の状態に陥ります。
罠3:契約解除・中途解約時の極端な違約金
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手口:
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契約書に、加盟者が不利になるような解約条項を潜り込ませます。
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契約途中で事業を続けられなくなった場合、高額な違約金や残存期間のロイヤリティ一括支払いを要求します。
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狙い: 加盟者がたとえ失敗しても、簡単には事業から撤退できないように縛り付け、本部の利益を確保すること。
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実態: 違約金が高すぎて解約できず、借金を重ねて事業を継続せざるを得ない状況に追い込まれます。
3.実例:飲食フランチャイズの「ゴースト店」詐欺
ある飲食業FC詐欺の事例では、本部は「独自仕入れルートと調理ノウハウにより高収益」を謳っていました。
詐欺的FC本部の手法:
架空の売上証明: 成功していると見せかけた店舗は、実際には短期間で閉店した「ゴースト店」であり、提示された売上データは虚偽でした。
必須資材のぼったくり: 開業後、本部が指定する「秘伝のタレ」などの必須資材の価格が、市販品の数倍に設定されており、原価率が極端に高くなりました。
無意味なサポート: 研修は数時間で終了し、開業後のトラブル対応や集客アドバイスは一切行われず、本部への連絡もつきにくい状態になりました。
結果: 加盟者は数百万円の加盟金を失った上、高い原価率とロイヤリティで利益が出ず、わずか半年で撤退。高額な違約金を請求され、多額の負債を抱えました。
4.契約前の「デューデリジェンス」チェックリスト
FC契約は、人生を左右する大きな決断です。契約書にサインする前に、以下の項目を徹底的に確認してください。
| チェック項目 | 確認内容 |
| 開示情報の透明性 | 提示された売上予測の根拠となる既存店の直近の決算書、監査報告書などを開示するよう要求したか? |
| 既存加盟店の状況 | 複数の既存加盟店(できれば本部の推薦ではない店舗)に直接訪問し、実際の経営状況や本部のサポート体制についてヒアリングしたか? |
| 初期費用の内訳 | 加盟金、保証金、研修費、資材購入費などの内訳が明確で、不当に高額ではないか、相場と比較したか? |
| ロイヤリティの明確性 | ロイヤリティの算定基準(売上の何%か、固定額か)が明確で、それ以外に不当な費用を徴収されないか確認したか? |
| 本部の実態 | 本部の事業継続年数、財務状況、代表者の経歴に不審な点はないか、登記簿謄本で確認したか? |
| 解約条項 | 契約期間、解約予告期間、中途解約時の違約金が、法的に見て妥当な範囲内か、弁護士に確認したか? |
【危険な実例】
当サイトで紹介しているKMプロモーション(代表:木村勝明)のように、一見は大手建設会社とつながりがあるように見せながら、実態はその支店長が営む零細な個人事業、しかも預けた資金を持ち逃げする詐欺師だった、というケースも存在するので、注意が必要です。
5.最後の防衛線:契約書を弁護士に見せる
FC契約に関するトラブルは、契約書にサインした時点で、加盟者側に不利な状況になってしまっているケースがほとんどです。
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専門家の助言: FC契約書は複雑であり、必ずフランチャイズ法務に詳しい弁護士に依頼し、法的なリスク(特にロイヤリティや解約条項)を徹底的にチェックしてもらってください。
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情報開示の要求: 法的には、FC本部は加盟者に重要事項の事前開示をする義務があります。本部が売上予測の根拠や既存店の状況の開示を拒否したり、曖昧にしたりする場合は、契約を見送るべきです。
「簡単に儲かるノウハウ」は存在しません。FCの魅力は「ノウハウ」ではなく、「健全なパートナーシップ」にあります。熱意を悪用されないよう、冷静に事業としてのリスクを見極めてください。